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Dawn Valley 6. -Renoa 2.-




 ・・バカだな。
そう言ったら、怒る?
責めてるんじゃ、ないんだよ。
だって、責められるべきなのは、きっと、私たちの方だもん。
私たちが、きみたちを、追い詰めた。
 海が、いつのまにか満ち潮になるみたいに。
いのまにか、岸へと帰る道を閉ざされて、立つ場所さえどんどん波に奪われて。
空を翔ける翼なんて持ってないから。だから。
 沈んでいくしか道はなくなってたんだね。
暗くて遠い世界へ行くしか方法はなくなってた。
 サイファー。
あなたは不器用で、優しくて、いつだってやることは極端だったけど、いつだって一生懸命だったね。
 おかしいくらい、悪ぶって。でもすっごく純粋な人だと思ったんだ、初めて会ったとき。
わざと乱暴なことしたりするけど、でも、優しくて、大好きだったんだよ。
 出会った始めは淡い恋愛感情だったけど…。
お兄ちゃんみたい…。そう。お兄ちゃんみたいに思ってた。きっと、サイファーも私のこと手のかかる妹みたいに思ってたんだろうね。
だから、あの時、ティンバーまで助けにきてくれた。
 すっごく嬉しかったんだあ、私。
だってね、あの時、そのちょっと前にスコールから手痛い批判を頂いちゃってね。
ほら、サイファーだってよぉく知ってるでしょ?スコールの容赦のない言い方。
あれでガツンと言われちゃってさ…。実はすっごく落ちこんでたんだ。
 でも、あそこにサイファーが来てくれて…。私のこと、心配して来てくれて…。
ああ、私のこと本気に心配してくれる人がいるんだなって…、そう思ったの。
それがすっごく嬉しくてね。
 すべてが終わって、あなたがガーデンに戻った後も、あなたはやっぱりあなたのままだったね。
「おまえは危なっかしいから、オレが今度こそ“魔女の騎士”になってやるよ」なんて言ってくれたりして。
ホントは、私の“魔女の騎士”はスコールのはずだったのに、自分がスコールを取っちゃったから。
 だから、そんなことを冗談めかして言ってくれたね。
 でも、知ってるんだ。
あの言葉が本気だったこと。
あなたの言葉は、いつも本気だった。
冗談のように言っても、それが冗談であったことなんてなかった。
 もし、魔女であるせいで、私が攻撃の対象になることがあったら。
きっと、あなたは本気で守ってくれるつもりだったね。
 サイファーのその気持ち、すっごく嬉しかった。
 あのね、スコールは、私に、この世界で生きていってもいいんだって、言ってくれたの。
誰がどんなに咎めたって、この世界に留まっていいんだって言ってくれたの。
 あなたは、誰が私を責めたって、守るって言ってくれた。
ほんとにほんとに、嬉しかったの。
きっと、一生、私を支えてくれる言葉たちなの。
 だから、もういいよ。
もう、私の“魔女の騎士”をしなくていいよ。
 私をこの世界に戻してくれた、大切な人が、あなたを待ってるから。
あなたのすべてをわかってくれる人が…。スコールが、あなたを、待ってるから。
 行ってあげて。ね?
スコール、独りぼっちになるの、すごく怖がるから。きっと、今、ちょっと不安になってると思うんだ。
 私は、あなたを忘れないから。
姿が見えなくなっても、あなたの言葉を大切にして生きていくから。
 だから、サイファーの、一番大切な人のところへ、ね?

さよなら。私の“魔女の騎士”


to Dawn Valley 7 -His friends 3.-