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Dawn Valley 4. -His freinds 2.-




~Selphie.~

 なんで?なんでなん?
わからへんよ、あたしには。
もっと、他に方法なかったん?
だって、この世界には、まだまだ楽しいこと、ぎょうさんあるんやで?
うちらが知らへんこと、いっぱいいっぱい、あったんよ?
 なのに。
それ、全部捨ててしもたのは、なぜ?
全部。ほんまに、全部、捨ててしもたね。
あたしには、でけへんな、そんなこと。
 …ほんまはね。
ほんまは、あたしだって、わかってん。
「その他全部」と引き換えに、たった1つの「何か」を手に入れたってことぐらい。
あたしにだって、わかってるんよ。
せやけど、納得でけへん。
たった1つの「何か」のために「その他全部」を諦めてしまうなんて、絶対、納得いかへんよ。
ひとは、「何か」を含めた「全部」を手に入れるために、努力するんやで。
努力、せなあかんねんて…。
 ……知ってる。
はんちょにとって、その「何か」が、「その他全部」に勝るものだったって、知ってるん…。
 こんなあたし見たら、「いつものセルフィらしくないな」って笑う?
せやけど、悲しいんやもん…。
なんで、こんな早く結論出したん?
もっと、いっぱい考えて、努力して、楽しいことも、嬉しいことも、悲しいことも、辛いことも、たくさんたくさん経験して、幸せ感じたり、傷ついたりしたあとでも、よかったんちゃうの?
……何を訊いても、もう、遅いんやね。

 悲しくて、淋しくて、まだ、許せないとこもあるけど、今、あたしにできるのは、ちゃんと、「セルフィらしい」って言ってもらえるよな、笑顔で送ってあげることだけなんだって、知ってる。


 だから、はんちょ、セルフィのとびっきりの笑顔、憶えといたって。



~Irvine.~

 とうとう、こんなことになっちゃったかあ。
正直な感想だよ。
きみたちはいっつも不安定で、危なっかしくて。
互いに望んでるのは同じことなのに。
同じだって、お互いわかってるのに。
なのに、すごく不器用で。
もっともっと、素直になればよかったのに。
もっともっと素直になって、愛し合って、傷つけあって、癒しあえばよかったんだよ。
 愛情って、ワガママなんだよ?
相手を傷つけないなんてこと、絶対に無理なんだ。
傷つけて、癒す。その繰り返しなんだよ。
 なのに。
きみたちは、それをわかっていながら、怖がった。
愛情でつけた傷は愛情で癒せることを、愛情でしか癒せないことを知りながら、それでも互いに傷つけることを怖がった。
 ……そして、愛情に追い詰められた。
追い詰められて、どうしようもなくなって、選んだ結果が、これなんだ。
 もう、これしか、方法がなかったんでしょ?
きみたちは、あまりにも互いが大切で、自分の愛情に耐えられなくなった。
ぶつけ合うはずの愛情を、ぶつけることができずに、耐え続けて、耐え切れなくなって、初めてぶつけあったら、こうなったんだね。
 …ほんと、不器用すぎて、おかしくなるくらい。
でも、そんなだからこそ、きみは、僕達にとって、とても大切な、愛すべき存在だったんだ。

 ……あれ?ヘンだな。なんか、視界がぼやけるや。
やだなあ、カッコ悪いよね。こんな姿見たら、きみはまた呆れちゃうね。
「しっかりしろ!アーヴァイン・キニアス!」
耳の奥で、きみの声が聞こえるよ。大丈夫、僕は大丈夫。
最後の餞は、僕らしく、ね。

一発、空に吸いこまれていく銃弾が、きみへの餞だよ。


to Dawn Valley 5. -World 1.-