吐息の熱さに、イキそうになる。
「…ぁっ」
噛み締めた唇から洩れる喘ぎに、狂う。
おまえは、俺にたやすく翻弄されながら、その実、そのすべてで俺を翻弄する。
「サ、イ…ファ…っ・んっ」
焦点の合わない、濡れた視線で俺の中のすべてを押し流し、俺の中をおまえだけで占領する。
ミダラ。
初めておまえを抱いた時、おまえほど、この言葉の似合うヤツはいないと思った。
あんなに潔癖な、あんなに冷たい昼間のカオはどこかへ消え。
戸惑うほど艶やかな、恐ろしいほど美しいカオが姿を見せる。
そんなおまえに翻弄されるとわかっていながら、俺はおまえから離れることができない。
時に熱く、時に冷たい、おまえ。
その熱さに灼かれ、その冷たさに射ぬかれ、俺はいつか身を滅ぼす。そんな予感がする。
「なに…かんが・・え、て・・っる・・?」
「…おまえのことさ。」
「ぁあ・・っ」
殊更冷たい顔を作って、俺はおまえを刺し貫く。
おまえに、この感情を覚らせないために。
そして、心のどこかで警鐘を鳴らす、俺自身のために。
スコール。
俺はおまえのために、いつか、この身を滅ぼす。
自分でわかっていながら、俺は俺を止めることができずに。
おまえから離れることができずに、滅んでいく。
俺の意思ではコントロールできない、俺を破滅に追いやるこの感情を、俺はなんと呼べばいいのか知らない。
おまえによってもたらされた、おまえだけにしか感じない、この感情の名を俺は知らない。
愛じゃない。愛なんかじゃ、ない。
そんなキレイな言葉で表せるようなモノじゃない。
おまえだけに感じるこの気持ちは、そんなキレイなモノじゃなく。
もっと、どす黒く、もっと、熱く、もっと、毒々しく、もっと、痛々しく、もっと、汚く、もっと、美しく、もっと、もっと、甘い。
スコール。
おまえが、その冷たい眸で、熱い腕で、俺に授けたこの感情は、愛ではなく。
俺のすべてを支配する。
愛ではない、何か。